セクシャルハラスメントに於ける最高裁判決

イビデン事件 平成30年2月15日 最高裁第一小法廷判決

平成30年2月、セクシャルハラスメントについての企業の在り方についての事案で、
最高裁判決が出ておりますので、コラムに記載しておきます。


◆争点は、上告人(会社)の子会社である従業員の行為に対して、親会社である上告人は、どこまでの使用者責任があるのか?


◆最高裁は、
「相談時の状況」により、「信義則上の義務に基づく損害賠償責任を負う」と判断しています。

上記の判断をしながらも、今回の事件ですが、
「親会社にもグループ会社対象の相談窓口があり、相応の対応が予想されていたものの、今回の相談内容は、女性の退職後の行為であり、また、加害者の職務とは関係がなく、退職後の行為から8カ月以上が経過しているため、親会社に責任は及ばない。」
と判断したものです。


最高裁判決  主文

最高裁判例-裁判所

日本経済新聞の記事より


再度、簡単に時系列的にまとめてみますと、
・一審で原告(元グループ会社の社員)請求棄却
・二審は原告の主張を一部認容判決
会社側が上告
・最高裁判決
相談の状況によっては会社は責任を負うとしながらも、今回は親会社に責任は及ばないと判断」

判決文全体を拝読しますと、状況の経緯は、かなり複雑です。
おそらく、現場での解決は困難で、また納得も出来ずにいたため、当事者の女性側が最終的に提訴に至ったのではないかと私は推察しております。
(女性側が退職後に及んでも、個人的なストーカー行為等もあった様です。)


労務管理の観点からすると、このようなケースが発生した場合、企業様にとりましては非常に悩ましく、事情の聴き取りや対応、問題の解決に向けて、とても頭の痛い事案だと思います。


被害者の心理的な負荷や、ストレスも相当なものである他に、万が一、提訴になった場合、エネルギーや時間を消耗し、企業様側も大変な労力を費やしてしまう事になります。


今回、最高裁は二審の判断を維持するのではなく、会社に責任は及ばないと判断していますが、
「相談時の状況により、信義則上の義務に基づく損害賠償責任を負う」との事ですので、
一般論としましては、このような相談が社員から寄せられた場合、会社側に信義則上の義務はあることを前提に、正確な状況を把握し、事態の悪化を防ぎ、改善のため速やかな対応をする事が求められると解されます。
 

セクシャルハラスメントは、非常にデリケートな問題ですので、相談者の心理的な負担を配慮し、プライバシーにも充分に留意した上で、適切な労務管理を行う事がとても重要だと思います。


また、セクシャルハラスメントの相手とは、女性だけではなく、男性も対象となります。
(例:  女性の上司が男性部下に対し性的な発言をする、プライベートな飲み会や食事を執拗に誘う等)
また、同性間のセクシャルハラスメントも認められています。
(例:  同性間で、相手が不快に思う発言や行動を職場環境で繰り返す等)


ご参考  
厚生労働省ホームページ
セクシャルハラスメント対策に取り組む事業主のかたへ
 

厚生労働省ホームページ  事業主の皆様へ


厚生労働省ホームページ
職場でのセクシャルハラスメントでお悩みのかたへ
 

厚生労働省ホームページ
職場におけるハラスメント対策マニュアル


厚生労働省ホームページ  
こころの耳
働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト


ハラスメント関連が原因となり事態が悪化し、  
問題解決に至らず、優秀な従業員がメンタルヘルス疾患に罹患してしまったり、退職などの残念な結果になる…等でありますと、
会社側は、
「貴重なスタッフを失ってしまう」
「人手不足」
「職場環境の雰囲気の悪化」
など、マイナスの側面は大きなものとなります。


日頃から、このようなハラスメントに対する考え方や意識を、研修やアナウンスにて社内に周知していく他、
対策としましては、就業規則に、セクシャルハラスメント、パワーハラスメントなどの場合に於ける規程を取り入れるなどの方法もあります。


お気軽に弊事務所までお問い合わせください。