· 

マクロ経済スライド、世代間扶養などについて

最近のニュースや話題で、老後の生活に必要な資金の額の話から、年金制度がどうなるのか?という事にスポットが当たる機会が増えていることを実感しています。



今回は、年金額の調整について簡単なご説明と、参考になるリンク先のURLを掲載しておきます。




マクロ経済スライドってなに?
厚生労働省ホームページより




日経スタイル  マネー研究所のサイトより




*:.。..。.:+・゚・✽:.。..。.:+・゚・✽:.。..。.:+・゚・✽:.。..。.:+・゚・

マクロ経済スライドとは、
「その時の社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整するしくみ」です。
※厚生労働省ホームページより引用




年金額は、物価や賃金が上がると増えていきますが、一定期間、年金額の伸びを調整することで(賃金や物価が上昇するほどは増やさない)ことで、保険料収入などの財源の範囲内で給付を行いつつ、長期的に公的年金の財政を運営しています。




マクロ経済スライドによる調整期間の間は、賃金や物価による年金額の伸びから、スライド調整率を差し引いて年金額を改定します。




◆この部分の参照ページについて、厚生労働省ホームページのスクリーンショットを添付いたします。◆



スライド調整率とは、現役世代が減少していくことと、平均余命が伸びていくことを考えて、「公的年金制度全体の被保険者の減少率の実績」と、「平均余命の伸びを勘案した一定率(0.3%)」で計算されます。




現在の制度では、名目額を下回らない範囲で行われています。
つまり、ある程度、賃金や物価が上昇した場合、マクロ経済スライドにより自動調整が適用され、給付の伸びが抑制される…つまり、年金は引き下げはされるという事になります。




しかし、賃金や物価の伸びが小さい場合は、スライド調整の効果は限定的になり、賃金・物価が下落した場合は、スライド調整の効果はないため、マクロ経済スライドは発動されません。




なお、2019年度は、0.1パーセントの引き下げで、マクロ経済スライドが2度目の発動となっています。




みずほ経済研究所のサイトより




また、年金財政についてですが、年金制度は賦課方式で運用されています。
私達現役世代が負担している保険料が、年金受給者の皆さんの年金になっているイメージですが、「年金支給のために必要な財政を、その時々の保険料収入から用意する方式」です。
いまの現役世代が高齢になって年金を受給する頃には、子供など、つまり、その下の世代が納めた保険料が財源となっており、そこから自分の年金を受け取る…という仕組みになっています。



また、年金制度にも、キャリーオーバー制度が導入されています。


キャリーオーバー制度とは、調整されなかった部分は翌年の年金財源に持ち越されるという仕組みです。
日本年金機構ホームページより



自分が積み立てた保険料が、将来戻って来るという仕組みではありません。




上記の内容を、賦課方式、そして、この考え方を「世代間扶養」と言います。




ご参考
厚生労働省ホームページ
教えて!公的年金制度




厚生年金、国民年金の財政
厚生労働省より




「世代間扶養」における意義
年金積立金管理運用独立行政法人GPIFより




今回、いつもより長めの内容であり、また、リンク先も多く、私の説明も不足している部分もございますが、年金制度や年金の仕組みについて、ご参考になれば幸いです。




酒井世津子社会保険労務士事務所